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2010FIFAサッカーWC、日本代表決勝トーナメント初戦敗退の理由 [2010南アWC日本代表戦]

2010年6月30日 日本代表対パラグアイ代表戦、そしてその後のスペイン代表対ポルトガル代表戦(とはいいながら後半は寝入ってしまったが)を見て、会社に出勤。 今日は定時に帰宅しました。 悔しくて悔しくて。 6月11日から毎日サッカー漬けの日々をおくったサラリーマンとして自分なりに2010南アWCでのベスト16で敗退した日本代表について総括しないととてもやっていられない気分。

この対パラグアイ戦は正直、退屈だった。 試合開始前から、パラグアイ代表と日本代表の戦いかた(守備的にいってカウンター狙い)というのは同じだといわれていたが、パラグアイ代表を見たら、ヨーロッパ・サッカーとは別の南米のリベルタ・ドーレス杯を競うクラブ・チームのサッカーがあった。 中南米のサッカー・スタイルって中村俊輔選手が昔から好んで研究していたスタイル。 よくメキシコ・サッカーは日本に向いているとかコメントしたり、横浜マリノスに入団当時に教えをうけたアルゼンチン人監督とか。 

だから対パラグアイ戦など、中村俊輔選手の得意なクリエイティブな面やサイドチェンジを大きく使って戦えた相手。 サッカーに素朴さとサッカーをする喜びにあふれたプレイの土台には、サッカーがパラグアイの国技である経験と実績に裏打ちされた、フィジカルの強さ、走力、テクニックなどどれも日本代表よりは上だった。

とはいいながら、オランダ代表やドイツ代表、スペイン代表はアルゼンチン代表、そしてブラジル代表に感じるような、「やっぱ凄い!」 と多分対戦相手も試合観戦者の気分になってしまうような、華麗さやスタイルはなかったし、どちらかというと中堅の強豪という印象だし、凄みを感じるほど強いという印象ではなかった。

日本代表はグループ・リーグを勝ちあがり、先発メンバーが固定されていることから、この決勝トーナメント初戦の前からニュースに流れてきたのは、先発メンバーの疲労だった。 そして岡田監督からの控えに甘んじている「年寄り組み」でくくられた4人がいかにチームに貢献しているかというコメントだった。 まだ決勝トーナメントの先の試合を考えている監督だとしたら、ありえない、まさに敗退したあとにこの2010南アWCを総括する時にでも出てきそうなコメントだった。・・・これを読んだ時、中村俊輔選手の出番はきっとないな・・・と中村俊輔選手を応援するファンは察知したはず。

中村俊輔選手のみ応援するとするいくつかのブログにも、似たようなコメントがこの対パラグアイ戦の前にでていたことから、岡田監督のメッセージは明確だった。 これはある意味この先勝ち上がる気力がないというのは岡田監督の試合後の「自分に執念がなかった」と吐露していることとの裏付け。

サブもメインも一つのチームといっていたけど、大会直前に現実路線で勝ちに行くというより負けないサッカーを目指して守備的布陣、そして本田選手の1トップ。 そして3試合固定。 交代要員で使われたのは、岡崎選手を除いて、1試合のほんのわずかな時間帯。 サブに入った選手もシステム交代のため・・という理由だったけど、守備的布陣からどうしても点をとりにいく攻撃的布陣に使うというより、英語でいうパッチー(小さな膏薬)みたいな扱い。

パラグアイ代表が決勝トーナメント初戦に5人の先発メンバーを変えてきたというアナウンスを聞いた時、勝ちへの執念はパラグアイにあると思った。 決勝トーナメントの試合は強い対戦相手にデス・バトルの様相を呈するからだ。 守備的な戦い方をするといわれていたが、終始攻め続けたのはパラグアイ代表。 日本代表は防戦一辺倒で、時折見せた松井選手、本田選手のシュートもゴールは割れず。 ヘディングの高さでセカンド・ボールはほぼパラグアイに。 研究されていた大久保選手や本田選手はファウルを浴びても、それがファウル判定にならず、優勢を見極めほぼ流していた審判。

どういうわけか、FKやCKを蹴ったのは遠藤選手だったけれど、TVのアップの映像が流れるたびに少し憔悴した遠藤選手の表情。 これは他の本田選手、松井選手、大久保選手、長谷部選手にも共通していたこと。 早くから運動量が落ちて消えていた阿部選手。 SBの長友選手や駒野選手は防戦一辺倒の試合で重要なタスクを担って、走りまくっていたけれど、パラグアイの選手にはかわされるシーンも度々。闘莉王を押し上げてゴール前に飛び込ませても、足2つ分くらい届かない。

決勝トーナメントを戦うにはそれなりの準備が必要だったはず。 ベスト4を目指すといっても現実路線に切り替えた時、ここまで勝ち残れると思ってもいなかったのが岡田監督自身だったかも。 そうなると、健闘している先発メンバーをいじるということは考えもしないだろう。 たとえかなり疲労していることが分かっていても。 ここで思い切って半分くらい選手交代させても失うものはなかったはず。 先発していない選手を使うことで、パラグアイの分析にも引っかからず、先発メンバーとはまた違った戦い方ができたと思う。 

見たかったのは森本選手の1トップ。 左中村憲剛選手。 右中村俊輔選手。 ボランチに稲本選手か今野選手。 このメンバーで今大会の先発メンバーとは勝るとも劣らない、また違った試合展開が見込めたはず。 点とって、1対0で勝ち抜けた試合。

最後のPK戦。 キッカーは岡田監督が指名したらしいが、120分間走りきった選手を使うのか、途中出場したFWを使うのか・・・・

駒野選手、南アフリカ、ブルームフォンテーンでもダーバンでも声を限りに声援した。 とっても良い仕事した。 かなり長い間内田選手の影に入っていたけど、今回は先発できて本当によかった。 PK戦で後ろ姿映った時、少し肩に力が入っていたけど、これは責任感のなせるわざ。 

中村俊輔選手の無念さは、携帯サイトに配信されるスポーツ記事にも、6月30日の日経の夕刊の記事からも明らか。いうまでもないが。

「外されたのは力が足りないから。 力があって、どんなポジションでもこなせたら、本田みたいに使われる」

これは悲しいコメント。 オシムさんだってあんなに中村俊輔選手にエールを送っていた。 

本田選手については、岡田監督が、2010南アWC大会開始直前に欧州にいって旧知のアーセナルのベンゲル監督、チェルシーのアンチェロッティ監督などに、戦い方のアドバイスを受けた時にインプットされたことにあると思う。 それでシステムをパス・サッカーの攻撃的スタイルから弱者がとる守備的でカウンター狙いに方向転換したのがそのアドバイスだったということがスポーツ紙に載っていた。 そうなるとどうしても強力なストライカーの1トップ。 日本のJリーグのストライカーや森本選手を試す時間がなかった時にヨーロッパCLでデビューした本田選手は一般的にも魅力的だったから。

中村俊輔選手の持ち味と役どころと本田選手はまるっきり異なるが、そういうコメントを出した中村俊輔選手のこの大会でのサブとして、そして試合出場が30分弱というほとんど自分らしいパフォーマンスを見せる時間も与えられなかった無念さの表れ。

この記事を書いた後、ウェブでスポーツ記事を探していたら、こんな岡田監督の記事が出ていました。 まあこれを見ると、本田選手を生かすため、まわりはその引き立て役だったようで・・・・ もしこれが本音であったとしたのなら、岡田監督、あなたには本当にがっかりです。

記事配信は時事通信社:

守備的布陣は「本田シフト」=岡田監督、「戦術変更」を語る〔W杯〕2010年6月30日(水)21:03

サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、苦戦必至と見られていた日本が決勝トーナメント進出を果たす大きな要因となったのが、岡田監督が大会直前に採用した守備的布陣だった。敗退から一夜明け、岡田監督が「戦術変更」の背景を語った。

 国内最後の強化試合、5月24日の韓国戦までは守備的MFに長谷部と遠藤、左右とトップ下のMFに、1トップを置く布陣で臨んだ。しかし、スイス合宿から、中盤の中央に長谷部と遠藤、その背後に阿部、左右のMFと1トップを置き、中盤を厚くする布陣に切り替えた。

 4月のセルビア戦と韓国戦で守備が崩壊状態に陥ったため、「戦術変更」は守備重視とみられていた。しかし、岡田監督は「本田を使う場合、本田は前線からボールを追うのは無理なので、守備が必要になる。W杯を勝ち抜くために考えた」と、本田の1トップ起用を念頭に置いた布陣だったことを明らかにした。

 今大会、本来の持ち場ではない1トップで2得点を挙げた本田について、岡田監督は「いろいろな得点の可能性が出る。やってくれると思った」と期待通りの活躍だったと評価した。

 従来の布陣については「何人かの中心選手が最高のパフォーマンスをすることが前提にあった」と説明。これまで不動の司令塔でありながら、今大会で1試合の途中出場にとどまった中村俊については「状態は上がっていたが、それ以外がうまくいっていたので(システムを)変えるわけにはいかなかった」と振り返った。 

[時事通信社]

わざわざスイスのキャンプ地に訪れたオシムさんとは会わない理由はここにもあった・・・ということですね。 岡田監督。

後記: やはり、1日の日本代表帰国後の記者会見で中村俊輔選手は日本代表からの引退を表明しています。 写真は中段の中央。 前段には岡田監督の満面の笑みの後ろで、時折今野選手の物まねや森本選手の南アフリカの歌には苦笑している姿を見せても、始終冷めた表情の中村俊輔選手。

そして対パラグアイ戦後にNHKで語ったオシムさんのコメントを見つけましたので。

「改善すべき点は多くあった。決勝に入ってパラグアイのように勝てる相手と当たったのに、この結果はきわめて残念です。本当に勝ちにいったのか、残念でならない。勝つために必要なことをしたのかというとそれはない。後半は個々人がチームを無視した動きをしてしまった。この教訓をどう引き出すか。次のワールドカップを考えるのならば、きょう、この負けた瞬間から考えなければならない」

「FIFAにもう一度検討してほしい。ルーレットのようなPK戦に臨まなければならない選手の気持ちを考えてほしい。そして、日本チームはそれでも、ここまでしかこられなかったという結果を噛みしめるべきだ。もう少し勇気を持っていれば違った結果になったかもしれない。サムライのようにカミカゼのように勇気を持つべきだった。ピッチの上では命まで取られることはないのである」

「明日の日本のサッカーが、今日のサッカーよりも良いサッカーになることを期待している」

今、Lalaはアルゼンチン対メキシコの決勝トーナメント初戦を見ている。 アルゼンチンのオフサイドによる先制点を許した誤審でも有名になった試合。 これは双方がパス・サッカーで自分達の流儀のサッカーを貫いている。 7月2日からはベスト8の試合が始まる。 真打登場だ!!! 

 

 


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トラ

やっとPCに向き合えました。
どこを見ても涙と悔しさが沸いてでてくる毎日です。

予選を戦っての中心選手。でもFWにも全線守備を命じていた監督が
ここにきてあっさり守備をしない選手を中心にシステム構成をしたこと。
だったら予選から森本を長い時間使って森本を生かした実践的なことをして欲しかったです。

今大会は大会直前の状況だと俊輔・内田・森本・岩政・ケンゴの出場は監督の頭にないと思っていました。
そして長丁場を戦うのに4人も使わない選手がいて、4人を使わない戦術
それ自体ありえません。

最後の交代カードであった岡崎・玉田は意味不明でした。
個人的にはLalaさん仰るように俊輔投入が一番効率よくゲームを進めることができたと思いますが、監督の腹の内からいけばケンゴは納得が行きました。
攻撃もうまくいかずミスも多かった試合でしたが、勝てば批判はされないでしょう
本田のハンドもありました(しかし毎回多すぎる)

見てる私も巷とは違って冷静だった今大会。
Gリーグは勝てても決勝Tは攻撃がないと当然勝てません。
守備は土壇場で修正できても、戦術変更して得たものには攻撃のバランスまで整えられなかった。
岡田さんは先を意識していたのかというと、ないでしょうね。

時期監督は違う人がいい。
そして偉大な10番のユニフォームはいろんな意味のあるものになりました。
俊輔の胸の内を推し量ることはできませんが、ゆっくり静養し、ブレずに常識を覆し続けてもらいたいです。

俊輔のプレーでサッカーを楽しく感じた人は国内外にたくさんいます。
また海外へ飛び出す勢いでキレキレのプレーとひらめきを見せてもらいたいと思います。


by トラ (2010-07-01 09:12) 

Lala

トラさん、お久しぶりです。
対パラグアイ戦、まさかブブゼラは夜中でふけませんが、後半開始からTVに向かって、「俊輔出せ! 俊輔出せ!」と家族でコールしました。 

本当に玉田選手と岡崎選手の交代って何なの? これで岡田監督はこの試合、勝ちに行くというよりは、まあ玉田も出しておいて・・・そして憲剛も・・・何となく参加賞のようなものだと感じました。

中村俊輔選手、今日のニュースでは日本代表引退を表明したようですが、まあ、次の監督がきて、気がかわるかもしれません。 中澤選手だってそうでした。 

それはさておき、中村俊輔選手のケイタイ・サイトでパラグアイ戦の後にコメント出ていましたが、そのとき、「岡田さん」という表現を見た時に、心はすでに岡田ジャパンから離れている・・・と感じました。

あのオシム監督の日本代表に入るのでさえ、グラスゴーから本当に心配していた中村俊輔選手ですから、この結末は本当に思ってもいなかったと思います。

岡田監督の「万事塞翁が馬」と慰めの言葉を(一体誰に?駒野選手?)を言ったそうですが、それを言う時はそれしか言葉がないほど、慰めようがない状況だったということです。 

それにしても、南アフリカまで多くの俊輔ファンが危険と高いお金を出して行ったということを日本サッカー協会は知らないんでしょうか。 
by Lala (2010-07-01 21:26) 

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